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大変な災難に見舞われたようですが、メールを拝見する限り、事故によるお怪我や後遺症も比較的軽症で致命傷には至らないご様子でなによりと感じております。喫煙が交通事故による脳挫傷に悪影響を与えるか否かというご質問ですが、伊藤様の場合、修復が可能なレベルの脳挫傷を負っているということですので、脳の損傷部は修復が行われるための栄養源が必要な状態であるといえます。脳にとっての栄養源とはなにか、それは呼吸と食事をすることによってそれぞれ血管から運ばれてくる酸素と糖分(主に普段我々が主食としているお米やパンなど)なのです。しかしながら煙草の喫煙は肺ガンの発症率を高める危険因子として広く知られておりますが、その他にも我々の身体に様々な悪影響を及ぼしているのです。つまり伊藤様にとって良くないのは煙草を喫煙することによって血管が収縮する作用が働くので、高血圧となり、高い圧が加われば、その分毛細血管が破壊されやすくなり、これから修復しようとしている脳細胞あるいは骨を形成する骨芽細胞と呼ばれる細胞にも充分な栄養源が行き届かなくなる可能性がありますし、さらに血管が収縮し、血管の太さが狭まりますと、当然栄養源となる酸素や糖分がそれだけ脳細胞や修復に関与する細胞に到達しにくくなります。よって禁煙時に比べれば、おそらく完治が遅れたり長引くことになると考えられます。さらにもしへビースモーカーの方であれば、これらの理由から修復されるはずの脳細胞が修復されず機能を失うことも考えられますので、そうなれば、完治されないケースもあるのではないでしょうか。通院されてる担当の先生に直接素直になぜ煙草がいけないのか率直に伺ってみてはいかがでしょうか。もし僕が伊藤様のお立場でしたら、今回の事故を不幸中の幸いと胸をなで下ろして、安心した後、これからの生かされた人生をどう真っ当すべきか、自分の存在意義を今一度確かめ、心配、迷惑をかけた身内や親しい人間のためにも禁煙し、自分が健康であることの大切さを実感しながら有意義な人生を送る努力を行うと思います。伊藤様はどのようにお考えなられますか。残念ながら僕も禁煙の難しさや辛さをよく知る人間のひとりなので、伊藤様のお気持ちは非常によくわかります。ですが、このところ一歩外に出ますと、我々が喫煙できる場所がますますなくなりつつありますので、お互い強い意志を持ってやめられるように頑張りませんか。
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